東海テレビ 世界への約束2020~鈴木亜由子~

  • 番組名:世界への約束2020~マラソン鈴木亜由子~
  • 放送局:東海テレビ
  • 放送日時:2020.1.19(日)1355~1450

「世界への約束「2020」シリーズ第一作として、東京五輪出場内定を勝ち取った豊川出身のマラソン選手鈴木亜由子を追ったドキュメンタリー番組。アスリートにとっての、人との出会いの意味の大きさ、更に優れた指導者による優れたアスリートの成長のプロセスを知ることが出来た。

番組は2018年の初マラソンで初優勝、2019年のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で二位という鈴木亜由子の衝撃的な成績を紹介したオープニングから始まり、「マラソンランナー 鈴木亜由子 出会いのチカラ」といういわば本編タイトルが表示される。

’06年愛知駅伝での15歳中学生の亜由子の映像、’07,’08年の右足骨折、’11年の学生陸上選手権500m優勝を経たのちの’13年冬の亜由子インタビュー、など長期取材による豊富な映像で東海テレビの伝統的な強さを見せつけられる。

番組タイトルにある「出会いのチカラ」の意味するところは彼女の所属先である日本郵政G女子陸上部の高橋昌彦監督との出会いが一つ。更に高橋監督が怪我で選手を断念したのち、アメリカ、コロラド州で合宿所運営をしていた時の、小出義雄監督との出会いも意味する。

高橋尚子や有森裕子を育てた小出監督の指導を仰ぎ、高橋監督は指導者としての道を歩み始める。
トラック選手だった亜由子を見つけ、’14年、日本郵政の陸上部発足と同時に入社した亜由子のマラソンで東京五輪を目指す強化プランを作成する。

この強化プランが良く出来ていて、数年ごとのブロックを括った1ステージとしての大きな目標、そしてそれを達成するための年度ごとの目標で構成されている。このプランが何度も紹介され、選手と監督の共有財産として実践されていく流れが取材映像とともに、見事に映し出される。
初マラソンで初優勝、そしてMGC二位という驚異的な成績がこの結果で生まれたと分かり、驚くしかない。

さて、昨年暮れにFNSドキュメンタリー大賞ノミネ-ト作品「出会いのチカラ~鈴木亜由子~」という番組が放送されたようだ。この放送を見逃したので、間違っていたらお許しいただきたいが、おそらくは私が視聴した’18年暮れの放送と同じものと思われる。

’18年暮れの番組は今回の番組と同じく吉野健ディレクターによる鈴木亜由子のドキュメンタリーであるが、構成は全く異なり、亜由子の憧れの選手である兵庫須磨学園高校、3年年上の小林裕梨子との出会いを中心に作られていた。

シンプルな構成で、ストレートに「出会いのチカラ」を感じた。とても面白く出来ていて、鈴木亜由子選手を知らなかった私がすっかり彼女を応援するファンとなった。おかげで放送後の、昨年9月のMGCで二位になった時は思わず拍手したものだ。

更に脱線するが、亜由子が「ももクロ」が好きで、前作ではナレーションに百田夏菜子を起用。
今年の正月特番「壮だったのか!たけい荘Z」ではゲストの鈴木亜由子とレギュラーの百田夏菜子の対面させた上に、2人共に部活経験のあるバスケットで遊ばせていた。スポーツ部内での演出面での交流が伺い知れて、いい感じだった。

澤田健邦